永住ビザあるいは永住権といわれるビザは通称で、正式には「在留資格 永住者」といいます。日本に長く住んでいる外国人のみなさんは「そろそろ永住ビザが取れるのではないか」と申請を考えていることでしょう。
このページでは永住ビザの取得について、メリット、申請を行える人、審査の基準などを紹介します。
永住ビザのメリット:
1)在留資格が永住者となるので、期限満了の際に必ず行わなければいけない「ビザの期間更新」がもう必要なくなります。
2)アルバイトで正社員でも自由に仕事ができ、就労に関する制限がなくなります。
3)配偶者が亡くなったり、離婚しても永住者のままでいられます。
4)国籍は日本ではなく本国のままでいられます。
5)ローンや融資など信用の必要な場合に有利です。
申請から許可までの期間:
永住許可には、申請してから審査結果が出るまで、6ヶ月ほど要します。永住許可を申請してから審査結果が出るまでに、現在の在留期間が満了する場合は、必ず「在留期間の更新許可申請」を行って下さい。期間更新の許可を得ておかないと、不法滞在(オ一バ一スティ)になります。
永住ビザの申請を行える人:
1)永住者への在留資格変更を望む外国人
2) 出生等などにより永住許可取得を望む外国人(事由発生から30日以内)
上記の1)永住者への在留資格変更を望む外国人と書きましたが、誰でも申請できるわけではありません。永住許可を審査するめやすとして法務省発行のガイドラインがあります。それによると「ア 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし,この期間のうち,就労資格又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。」という記載があります。
ガイドラインといっても「法律の要件」になるわけですので、甘くはないですし、緩いわけでもありません。
つまり、申請を出せるのは、日本に住居を定めてから、原則として、10年以上継続して在留していること、就労資格を取得してから5年以上の在留期間が経過している人が申請を行うことができるということです。
2)については主に「日本で生まれた赤ちゃん」のことを言っています。お父さんとお母さんのどちらかが永住者の場合、生まれた赤ちゃんも永住者になります。この時、出生から30日以内に「永住許可申請書」を提出する必要があります。1日でも遅れると受け付けてもらえないので、十分に注意してください。オーバーステイ扱いになり、東京入国管理局(東京都港区)にて処理されます。
永住ビザの許可審査基準について:
長い間審査基準は公開されていませんでしたが、それではどのように行われているかわかりません。その不安を払拭する意味で、法務省はガイドラインを公開しています。
永住許可に関するガイドラインは以下の通りです。(引用:法務省、入国管理局、公開資料から引用)
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1 法律上の要件
(1)素行が善良であること
法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること
(2)独立生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
日常生活において公共の負担にならず,その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること
(3)その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
ア 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし,この期間のうち,就労資格又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。
イ 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。納税義務等公的義務を履行していること。
ウ 現に有している在留資格について,出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。
エ 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと
※ ただし,日本人,永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合には,(1)及び(2)に適合することを要しない。また,難民の認定を受けている者の場合には,(2)に適合することを要しない。
2 原則10年在留に関する特例
(1)日本人,永住者及び特別永住者の配偶者の場合,実態を伴った婚姻生活が3年以上継続し,かつ,引き続き1年以上本邦に在留していること。その実子等の場合は1年以上本邦に継続して在留していること
(2)「定住者」の在留資格で5年以上継続して本邦に在留していること
(3)難民の認定を受けた者の場合,認定後5年以上継続して本邦に在留していること
(4)外交,社会,経済,文化等の分野において我が国への貢献があると認められる者で,5年以上本邦に在留していること
※「我が国への貢献」に関するガイドラインを参照して下さい。
(注)本ガイドラインについては,当面,在留期間「3年」を有する場合は,前記1(3)ウの「最長の在留期間をもって在留している」ものとして取り扱うこととする。
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ガイドラインについて、少し紹介します。
上記ガイドラインで、1.法律上の要件の(1)(2)(3)は読んで字のごとくです。問題は次にくる「2 原則10年在留に関する特例」になります。
この特例にあてはまるのであれば、原則10年在留+5年就労のしばりを気にせずに早く取得することができる可能性があります。(1)(2)(3)は読んで字のごとくです。ややこしいのは(4)にある「我が国への貢献があると認められる者」の内容になります。
少し詳しくみてみます。
「我が国への貢献」とは具体的に何かということをガイドラインで公開しています。内容をみてみると、超立派な人物となります。「我が国への貢献」ガイドラインはこちらから。
日本在留のごく普通の外国人の皆さんは、ノーベル賞や国民栄誉賞はもらえないですね。ですので、(4)はよほどのことがない限り審査対象にはならないでしょう。
許可例・不許可例
しかしながら、じゃあ、どのような外国人が特例で永住許可を取得しているか気になりますよね。実は「我が国への貢献度」の許可と不許可の具体例が公開されています。
それを読んで自分と照らし合わせ、永住の許可が降りるかどうかある程度予測がつくのではないでしょうか。ぜひ、参考にしてみてください。許可例・不許可例
ちなみに数例、紹介します。
許可例)
我が国の大学の助教授及び教授として5年以上勤務しており,我が国の高等教育(国際法)の水準の向上に貢献が認められた(在留歴5年6月)。
許可例)
我が国のアマチュアスポーツ選手として活躍し,その間にW杯への出場やスポーツ指導者として我が国のスポーツの振興に貢献があったものと認められた(在留歴7年7月)。
許可例)
音楽分野の大学教授として我が国の高等教育活動に従事し,その間,無償でアマチュア演奏家を指導するなど我が国の教育や文化の振興に貢献があったものと認められた(在留歴5年10月)。
不許可例)
約1年間,高校で教師をしている他,通訳等のボランティア活動を行っているとして申請があったが,当該活動のみをもって社会的貢献等には当たらないとして不許可となった。
不許可例)
大学で研究生として研究活動を行っているが,教授等の指導を受けて研究している通常の研究生,学生等の範囲内での研究活動であり,研究分野において貢献があるとまでは認められず,不許可となった。
不許可例)
語学指導助手として入国し,3年間は本邦内の中学校で,それ以降は高等学校において約4年間英語教育に従事していたが,日本の大学又はこれに準ずる機関の常勤又はこれと同等の勤務の実体を有する教授,助教授又は講師としては認められず,高等教育の水準の向上に貢献のあった者とは認められなかった。(在留歴6年11月)